2026/09/26 17:06
2つ折り財布typeBは、moripodworksの中でも少し変わったデザインの財布です。
以前、革同士が重なった部分のコバ磨きについて、あれこれ悩んでいた時期がありました。
考えてもなかなか答えが出ないので、あるとき気分転換に、
「そもそも、革同士が重ならない財布を作ってみよう」
と思い立ち、設計を始めました。
革同士が重ならないようにするため、革は少しずつ位置をずらして縫い合わせています。
その結果できたのが、特徴的な段々としたデザインです。
ただ、単純に革をずらすだけでは、少し野暮ったく見える。
そこで、革の端から縫い糸までの距離を、普段より少しだけ短くしました。
普段は2.5mmで設計しているところを、typeBでは2.0mmに。
たった0.5mmの違いですが、このわずかな違いで、段々とした形がすっきりと見えるようになりました。
こういう、ほんの少しの寸法の違いで全体の印象が変わるところは、設計していて面白いところです。
カードポケットも、あえて大きなポケットを1つだけにしています。
カードポケットを細かく分けるのではなく、大きなひとつのポケットにすることで、ここでも革の重なりを減らしました。
カードを細かく分類せず、パッと入れて、パッと取り出せる。
シンプルですが使いやすく、実際に僕自身も気に入って、ここ数年ずっと使っています。
ただ、革の重なりをなくしたことで、作るときには別の手間が増えました。
縫い合わせる前に、すべての革を一枚ずつ全面コバ磨きする必要があります。
手間はかかりますが、完成した財布を見ると「これはこれでいいな」と思える。
そんなお気に入りの財布になっています。
……全部お気に入りではあるのですが。
そして、この財布を作ったことは、typeBそのものとは別のところでも意味がありました。
ひとつの財布の構造について悩み続けていると、どうしても考え方が固まってしまいます。
そんなときに、少し違う方向へ振ってみる。
typeBを作ることで新しい作り方を試すことができ、その経験が、ほかの財布を作るときの新しいアイデアやモチベーションにもつながりました。
うまくいかないところを延々と考えるだけではなく、いったん別のものを作ってみる。
そうすると、思わぬところから答えが見えてくることがあります。
「typeB」という名前も気に入っています。
標準から少し外れている感じがするからです。
moripodworksの財布は、基本的にはオーソドックスな財布を目指しています。
でも、どこかに少しだけ違うところがある。
typeBは、その「少し外す」が特に分かりやすく表れている財布なのかもしれません。